Nov 19, 2013

ここ1~2年ほどのマイブームが漫画の一気読みで、メジャーどころはかなり読破した気がします。あまり好き嫌いは無いほうですが、ギャンブルものだけはまったく読まないですね。それとONE PIECEもちょっと無理です。

レビューサイトを巡り歩いた中でも出色だった作品から、まずこの「自殺島」を。

自殺島 9 (ジェッツコミックス)自殺島 9 (ジェッツコミックス)
著:森恒二 , 他
参考価格:¥540
価格:¥540

いわゆる”現代病”にスポットを当てるとこからして野心的で気骨のある作家さんだなと推測されますね。

暗鬱で深刻なストーリーが待ち受けていそうなタイトルですが、ヤワだった主人公が確変していく様がなかなか爽快でエンタメ要素もたっぷりです。言うなればゴールディング「蠅の王」アナタハン事件を足して2で割ってより冒険活劇風に仕上げた感じ。

まず社会の落伍者たる自殺未遂者たちが無人島(実はそうではない)にまとめて放り込まれるという、人権まるで無視の荒唐無稽な設定が最高です。こんなの有り得ないと思いつつ僕ならどう行動するだろうと知らぬ間に感情移入してしまいます。



続々と脱落者を出しながらも、自分たちの手で食糧を確保するサバイバル生活の中で”生きる”ことの意味を見つめ直す主人公たち。それまで漂うように生かされていただけの若者たちが自分の力で生きていくことの嬉しさ、業の深さを実感していくあたりの心理描写が泣けるほど清々しいんです。僕もせめて自分で釣った魚ぐらいは三枚に下ろせるようになりたいと思いました。

集団力学とリーダー像みたいなものも2つのグループの対立を通してリアリズムたっぷりに描かれています。暴力で統率するアナーキスト「サワダ」の三度の襲撃に、心優しき狩人「セイ」はどう立ち向かうのか? 解りあえればいいのにと期待しつつ、そんな奴殺しちまえばいいのにという残虐な衝動にも駆られます。


社会の縮図と言うと大げさかもしれませんが、学校なり社会なりで作中の登場人物の誰かと立ち位置が被る人も少なくないのではないでしょうか。もしかすると処世術のヒントみたいなものが見つかるかもしれませんよ。


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